2011年 05月 22日
薬剤師のための臨床医学セミナー―心血管専門医に聞く治療薬の処方意図―
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①β遮断薬の使い分け~心房細動から心不全まで~
国内で使用できるβ遮断薬は15種類ある。どのように使い分けるのか。
その判断基準はエビデンスということになる。プロプラノロールの発見によりスタートしたβ遮断薬の歴史は、3つの道に別れる。ISA+のカルビスケンやミケラン、β1選択性の
セロケン、テノーミン、メインテート。そして、β遮断作用にα遮断もあるアルマールやアーチストである。β受容体は、β1は心臓に存在し、β2は血管平滑筋や気管支などに多く存在する。よって、メインテートに代表されるβ1選択性の遮断薬は心臓に用いられることが多く、心拍数(レート)調節に適している。心不全には、収縮不全と拡張不全があり、収縮不全にNIHAクラスⅠから、ACE阻害剤と、β遮断薬が用いられる。心不全患者の予後の改善効果は、メインテートとアーチストでエビデンスが得られている。また、β遮断薬には、水溶性の薬剤と脂容性の薬剤があり、水溶性のβ遮断薬であるテノーミンでは心保護効果は得られていない。そこで、メインテートとアーチストの使い分けだが、徐脈傾向ではアーチストを、頻脈傾向ではメインテート用いるのがよいことが分かった。
心房細動は、高齢になればなるほど増加傾向にある。薬物治療としては、脳卒中の予防のため抗凝固療法を行ったうえで、β遮断薬やジギタリスを用いる。β遮断薬の利点の一つは、少量でもレートを下げるということ。ジギタリス製剤もコントロールがうまく付けばカットしてゆく方向でレート調整をしてゆく。メインテートはピュアβ1遮断薬、アーチストはマルチアクティングβ遮断薬といえる。自律神経活動が関与している心房細動は、迷走神経緊張型と交感神経緊張型、混合型の3つのタイプに分けられる。迷走神経型は食後や夜など、交感神経型は昼間に起きる。交感神経優位な場合は、メインテートや抗不整脈薬であるプロノンを、迷走神経優位な場合はリスモダン(ピメノール)やシベノールを、自律神経の関与がない場合はサンリズムやタンボコールといった抗不整脈薬を用いる。
これらが無効の場合、アスペノン、ベプリコール、(ソタコール)を用いる。*()は適応外、さらに無効の場合はアンカロンを用いる。β遮断薬の使い方や抗不整脈薬の使い方を勉強し処方解析に役立つ情報を学ぶことができた。
②閉塞性動脈硬化症の診断と治療―薬物治療の意義―
現在、閉塞性動脈硬化症は、ASOよりPADと呼ばれることが多くなった。糖尿病患者でのPAD発症は10%以上と高確率で起こっている。しかし、その診断率は4分の1程度と低い。また発症後の予後が悪いため、薬剤師である我々も糖尿病患者への注意が必要と感じた。また、PADは全身症状の一部であり、体全体を考えることが大切である。間歇性跛行はPADの重症度の目安となる。重症の下肢虚血は大腸がんと同じくらい予後が悪い。
間歇性跛行は治療に余裕があるが、重症の下肢虚血は急を要する。PAD患者では、心血管イベント予防のためアスピリンを第一選択とし、歩けるようにするため、アンプラーグやプレタールを用いる。PADの治療は全体を見て、QOL改善し、自由に歩ける足と体を維持できるように注意してゆくべきだということが分かった。
国内で使用できるβ遮断薬は15種類ある。どのように使い分けるのか。
その判断基準はエビデンスということになる。プロプラノロールの発見によりスタートしたβ遮断薬の歴史は、3つの道に別れる。ISA+のカルビスケンやミケラン、β1選択性の
セロケン、テノーミン、メインテート。そして、β遮断作用にα遮断もあるアルマールやアーチストである。β受容体は、β1は心臓に存在し、β2は血管平滑筋や気管支などに多く存在する。よって、メインテートに代表されるβ1選択性の遮断薬は心臓に用いられることが多く、心拍数(レート)調節に適している。心不全には、収縮不全と拡張不全があり、収縮不全にNIHAクラスⅠから、ACE阻害剤と、β遮断薬が用いられる。心不全患者の予後の改善効果は、メインテートとアーチストでエビデンスが得られている。また、β遮断薬には、水溶性の薬剤と脂容性の薬剤があり、水溶性のβ遮断薬であるテノーミンでは心保護効果は得られていない。そこで、メインテートとアーチストの使い分けだが、徐脈傾向ではアーチストを、頻脈傾向ではメインテート用いるのがよいことが分かった。
心房細動は、高齢になればなるほど増加傾向にある。薬物治療としては、脳卒中の予防のため抗凝固療法を行ったうえで、β遮断薬やジギタリスを用いる。β遮断薬の利点の一つは、少量でもレートを下げるということ。ジギタリス製剤もコントロールがうまく付けばカットしてゆく方向でレート調整をしてゆく。メインテートはピュアβ1遮断薬、アーチストはマルチアクティングβ遮断薬といえる。自律神経活動が関与している心房細動は、迷走神経緊張型と交感神経緊張型、混合型の3つのタイプに分けられる。迷走神経型は食後や夜など、交感神経型は昼間に起きる。交感神経優位な場合は、メインテートや抗不整脈薬であるプロノンを、迷走神経優位な場合はリスモダン(ピメノール)やシベノールを、自律神経の関与がない場合はサンリズムやタンボコールといった抗不整脈薬を用いる。
これらが無効の場合、アスペノン、ベプリコール、(ソタコール)を用いる。*()は適応外、さらに無効の場合はアンカロンを用いる。β遮断薬の使い方や抗不整脈薬の使い方を勉強し処方解析に役立つ情報を学ぶことができた。
②閉塞性動脈硬化症の診断と治療―薬物治療の意義―
現在、閉塞性動脈硬化症は、ASOよりPADと呼ばれることが多くなった。糖尿病患者でのPAD発症は10%以上と高確率で起こっている。しかし、その診断率は4分の1程度と低い。また発症後の予後が悪いため、薬剤師である我々も糖尿病患者への注意が必要と感じた。また、PADは全身症状の一部であり、体全体を考えることが大切である。間歇性跛行はPADの重症度の目安となる。重症の下肢虚血は大腸がんと同じくらい予後が悪い。
間歇性跛行は治療に余裕があるが、重症の下肢虚血は急を要する。PAD患者では、心血管イベント予防のためアスピリンを第一選択とし、歩けるようにするため、アンプラーグやプレタールを用いる。PADの治療は全体を見て、QOL改善し、自由に歩ける足と体を維持できるように注意してゆくべきだということが分かった。
by akishimap
| 2011-05-22 16:12
| 勉強会